技術の進歩、価値観の多様化とともに、社会が大きく変化しています。鉄鋼業界もその変化の流れの中で、大きな節目を迎えています。ここでは、鉄鋼業界の未来と、スチールプランテックのこれからについてご紹介します。
変化する鉄鋼業界
近年、鉄鋼業界を取り巻く環境は変わり始めています。例えば、深刻化する環境問題への対策が急がれる中、製鉄プロセスにおいて排出されるCO₂を削減するための新技術が模索されています。また、持続可能な開発目標「SDGs」や建設現場での安全性向上、働き方改革などの実現を目指したアクションも活発化しており、あらゆるプロセスでイノベーションが求められています。

脱炭素社会に向けて
2015年、地球温暖化対策のための国際的な枠組み「パリ協定」が採択され、国ごとにCO₂排出量の削減目標を定めることが決まりました。さらに、2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の宣言などを受けて、鉄鋼業界ではCO₂を排出せずに鉄鉱石を還元する「水素還元製鉄」や省エネルギー化を実現する「フェロコークス」などに注目が集まっています。

デジタル化と鉄鋼業界
デジタル技術によって新たなビジネス価値を創出することを意味する「デジタルトランスフォーメーション」(Digital Transformation:DX)。あらゆる業界においてAI(ディープラーニング)やIoT、ビッグデータといった新技術が活用される中、鉄鋼業界でもロボットによる自動化や省人化、安全性の強化が進められています。また、こうした技術は業務のスマート化に寄与し、働き方改革の実現や組織の活性化などをもたらしています。

グリーンリカバリーの
ために進化する鉄
私たちの暮らしを支える「鉄」は、環境分野における社会のニーズに適応するとともに、より強く、より軽い素材へと進化しています。例えば、自動車のボディに使われる高強度鋼板(超ハイテン)は普通鋼板の3倍の強度を誇りながらも、同じ強度で比較すれば3分の1まで軽くなっており、軽量化とともに衝突安全性能の向上にも貢献しています。また、複数の素材を接合する「マルチマテリアル化」も進められ、多機能かつ高効率な素材づくりを目指しています。

あらゆる産業の基礎となる「鉄」
「鉄」は強さと硬さを持ち、さまざまな形状に変化する特性を持つことから、建築、鉄道、自動車、家電製品といった多岐にわたる分野に役立てられ、私たちの暮らしを支え続けてきました。また、鉄はあらゆる産業の基盤であることから、鉄の生産量や消費量はその国の経済力を測る一つの指数であると言われています。

(業界別鉄鋼消費量 出典:worldsteel)
ますます伸びる世界の鉄鋼需要
現在、世界の鉄鋼需要は拡大傾向にあります。その理由として挙げられるのが、インドや東南アジア諸国、中東、アフリカといった新興国の経済発展です。それらの国々ではインフラ整備や自動車、家電製品などの分野における鉄鋼需要が大きく増加しており、その傾向は今後も続くことが予想されています。

これからのスチールプランテック

当社は「Green & Smart」(Green=脱炭素を推進するための技術革新・Smart=最新技術を駆使した製品のスマート化)を掲げ、最新テクノロジーを織り込んだ商品やサービスの開発、提供をすることで、人と環境を大切にする技術を提供し続けます。
ゼロカーボンへの
取り組み
今後、世界的に需要が高まる電炉でのビジネスを拡大するため、私たちは、当社が約55%のシェアを誇る国内電炉のエネルギー活用の効率化を図っています。また、高効率なスクラップ予熱技術を備える環境対応型高効率アーク炉「ECOARC™」は、世界トップレベルの電力原単位をもたらすことから高い評価を得ており、現在ラインナップを充実させています。このように、当社ではグリーンカーボンを利用した脱炭素社会の実現への取り組みを推進しています。

次世代環境対応型高効率アーク炉「エコアークライト」
(ECOARC-light™)
AI・ロボティクス技術を活用した
スマートプロダクツ
「Sシリーズ」
AI・ロボティクス技術の活用、DXの推進で、プラント毎に設置していた操作室の中央集約化、遠隔操業など更なるスマート化、その先のワンマンオペレーションを目指しています。「Spco-ROBO SAMPLER」は、人が行うサンプル採取作業をロボット一台で代替できます。「Spco-ROBO KNIGHT」は、危険作業の省人化・自動化を実現した測温サンプリングロボットです。

左:Sシリーズの熱間条鋼サンプル採取ロボット「Spco-ROBO SAMPLER」
右:Sシリーズの測温サンプリングロボット「Spco-ROBO KNIGHT」
鉄の進化を支えるために
スチールプランテックでは、製鉄プロセスを知り尽くした当社ならではの独自技術をベースに、新たなアプローチを次々と取り入れ、新技術に挑戦し鉄の進化を支えます。電気炉の大型化に対応した電源システム、電圧の安定化と省エネを実現する電極制御システム、石灰石を焼成する過程で排出されるCO₂を高濃度で回収するプロセスの開発など、脱炭素化へ貢献する技術開発を進めています。より高度な技術にするために、他社や大学とも連携し、社外の技術も積極的に取り入れています。

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